• 2019.1.30
  • Education Div.

日本語教師のおしごと

日本語教師のおしごと

自称フルスタック日本語教師の平澤です。現在、JELLYFISHが奥多摩で運営している日本語学校、Bridge Institute of Technology – Okutama(奥多摩日本語学校)で教務主任をしています。

最近、新しい在留資格の創設がらみで、「日本語教育」がいつになく注目されています。これを機に「日本語教師」って、どんな仕事なんだろうなーと、興味を持った方もいらっしゃるかと思います。

(いない?)

そこで、今回は、「日本語教師のおしごと」について書いてみたいと思います。

 

日本語教師ってどんな人?

まずはじめに、文化庁から出されている「平成29年度 国内の日本語教育の概要」から、「日本語教師」の実態を紐解いてみたいと思います。

この資料の概要では、国内における日本語教育実施機関・施設等数、日本語教師数、日本語学習者が下記のようにまとめられています。

日本語教育実施機関や施設が、2,109あり、そこで教える日本語教師数は39,588人。

この表の中の「法務省告示機関」というのが、私が、現在、働いている「日本語学校」のことです。(以下「日本語学校」と表記します)この日本語学校で働く日本語教師だけを抜き出すと9,739人です。

もう少し詳しく機関別の内訳を表したものが下のグラフになります。

全体の25%が、日本語学校で働く日本語教師ということになります。この中の「地方公共団体」とか「国際交流協会」が運営する機関・施設というのは、各地域にあるいわゆる「日本語教室」と呼ばれる施設です。

「日本語学校」って、結構少数派です。

さらに日本語教師を職務別に見ていくと下記のグラフのようになります。

「日本語教師」と呼ばれる人の57.2%(22,640人)が、ボランティアです。そして、非常勤教師が11,833人で、29.9%。常勤教師は、わずか5,115人(12.9%)です。

この常勤講師の大半(2,540人)が、日本語学校で働いています。こうみると、日本語学校で働いている正社員って、かなり少ない…

次に、日本語教師を年代で見てみたいと思います。

いちばん多いのが、60代で、全体の22.7%(8,996人)。次に多いのが、50代で、17.7%(7,005人)、続いて、40代で15.8%(6,263人)です。

40代以上の教師が65%以上を占めるという…(ちなみに私もこの中に含まれます。ここは、多数派!)

かなり、高齢化が進んでますね…

この文化庁の資料は、調査を依頼した機関から回答があったものを数値化したものですから、全ての機関が含まれているわけではありませんし、国際交流協会などの補助を受けずに、自主運営している日本語教室などもあります。また、フリーランスで働いていたり、一般企業に所属している教師は、調査に含まれていません。

とはいえ、この資料からわかる「日本語教師像」というと、ボランティアが中心で、常勤講師は少数派です。しかも、若い人が圧倒的に少ないのです。

 

日本語教師って何をするの?

「日本語教師」ってどんな人なのかは、なんとなくわかった。じゃ、その「しごと」ってどうよ、と思われた方。実をいうと、これがまた説明が難しいのです。(「日本語教師のおしごと」というタイトルつけておいて、それはないだろ、とつっこまれそうですが、もうしばらくお付き合いください)

改めて考えてみると「日本語教育の現状」を把握するための調査の中に含まれる「日本語教師」って、日本語教室のボランティアから、教育委員会などに所属する子どものための日本語教師、さらには、大学の教員まで、ちょっと振り幅が大きすぎて、一言で「しごと」と言っても、その内容にもかなり幅があるのは想像できるかと思います。

日本語教師だから、「日本語を教える」ことが仕事だと、単純に考えればそうなんですが、最近、そうとも言い切れないと思うようになりました。そこで、私が関わっている「日本語学校」の「しごと」を例にあげてみたいと思います。

一般的に日本語学校というと、大学や専門学校へ進学する留学生のための「予備教育機関」として位置づけられています。つまり、大学や専門学校へ進学する前に、進学先で必要な日本語を勉強するための学校です。

一方で、私が勤務する奥多摩日本語学校は、「就職コース」を設け、日本のIT企業への就職を目指す留学生のための「日本語教育機関」として運営しています。

「日本で働く」ということを想定していますから、ここで扱う日本語は「ビジネスで使える日本語」です。

ビジネスで必要な日本語ってなんでしょう?私たちが仕事をするときに、どんなふうに言葉を使っているのでしょうか。お客さんとのやりとり?社内のミーティング?連絡、報告、相談?

ビジネスといっても、これまた幅広くて、想像するのが大変ですが、ITエンジニアといったら、もう少し、範囲が狭まるでしょうか。

こんなふうに学習者が必要とする日本語という側面から考えると、実は、日本語学校といっても、対象者によって、教育内容も変わってきそうです。それぞれの企業が、それぞれ必要とされている事業を展開しているのと同じと考えればわかりやすいでしょうか。

そして、私がここでしている「しごと」というと、学習者が必要とする日本語力って何かを考え、それに必要なカリキュラムを提供していくことです。

ちなみに、奥多摩日本語学校では、プロジェクトをベースとした「PBL(Project-Based Learning)」という方法で日本語教育を行っています。プロジェクトをチームで進めることによって、ビジネスに必要な日本語だけでなく、考え方や行動力なども学ぶことができると考えたからです。

下は、今日の授業風景です。

今は、チームで一つのプロダクトを開発するということを目標として設定し、一連のプロジェクト活動を通して、日本語を学ぶということをしています。いわゆる「学校」とは、だいぶ雰囲気が違うのではないかと思います。

学生にとって何が必要かを考え、それをカリキュラムやそれぞれの授業内容に落とし込んでいく、それが今、私がしている「しごと」です。

これからの日本語教師とは?

それにしてもです。現在、日本には、約256万人の外国人が暮らしています。

新しい在留資格(特定技能)が創設され、4月から施行されることになりましたから、これから、日本で暮らす外国人はますます増えていくでしょう。

で、外国で暮らすときに、欠かせないのが「ことば」です。

そんな個人の生活に欠かせない大切な「ことば」を保証する日本語教育が、多くのボランティアで支えられている実態を見ると、「なんだかなー」という気持ちになってしまいます。

今の社会では、JELLYFISHがそうであるように、別々の言語や習慣を持つ様々な人が一緒に働き、生活しています。そのような社会で、すべての人が暮らしやすいように、主に言語面からサポートをしていく人、それが日本語教師なのではないかと思っています。

緑に囲まれた奥多摩の山奥で、そんな場を作り上げながら、日本語教師として何ができるのかを考え続けています。これからの社会に必要とされる、創造力豊かな価値ある「しごと」をしたいと思っている方、ぜひ仲間になりましょう。